「毎日毎日、出社して帰ってきての繰り返しでうんざり。もっと自由に過ごしたい」
「セミリタイアしたいけど具体的にどう動けば良いのだろう?」
少し前になりますが、金融庁が発表した報告書が発端となり「老後2,000万円問題」なんて話題もありました。これは平均的な一定の条件下で年金も含めて考慮しても約2,000万円が不足するという話です。
退職金に望みを持てる人もいるかもしれませんが、冒頭のように、定年までずっと同じ会社に働き続けることに不安や不満を感じる人も多くなっているようです。
「老後2,000万円問題」は老後に限った話ですが、本記事では「セミリタイア(FIRE)」というライフスタイルについて解説します。セミリタイアは定年退職よりも早く退職するなどして貯蓄や不労所得、少しのアルバイトなどで生活していくライフスタイルを言います。
本記事ではセミリタイアという言葉を知っていても、具体的にどのように動いていけば良いのか、そもそもセミリタイアとは何かといったポイントを解説していきます。
ぜひ参考にしていただき、経済的自由・独立に向けた一歩を踏み出してくださいね。
そもそもセミリタイア(FIRE)とは
セミリタイアは、リタイアやFIREと呼ばれているライフスタイルの種類の1つです。セミリタイアを理解するには「リタイア」「FIRE」について理解する必要があります。
「FIRE」についてですが、FIREは「Financial Independence, Retire Early(ファイナンシャル・インディペンデンス・リタイア・アーリー)」の略称で、より早く経済的に独立してリタイアすることを指しています。
具体的には会社員(雇用される立場・労働者)を辞め、貯蓄や投資などで生活するライフスタイルです。
このとおり、「リタイア」は「FIRE」と同じ意味を持っています。
以降では、「リタイア」と「セミリタイア」の違いも含めて、セミリタイアに関連して多くの人が疑問に感じる以下のポイントについて手短にわかりやすく解説します。
- セミリタイアとFIREの違い
- いつ頃達成できる人が多いのか
- セミリタイア(FIRE)を実現した人はどうやって実現できたのか
セミリタイアとFIREの違い
リタイアについては先ほど説明したとおりで、「より早く経済的に独立してリタイアすること」です。セミリタイアはそれに準じたライフスタイルを指します。
具体的には、アルバイトを行いながら自由に生活していくスタイルなどです。アルバイトを行っているということは、会社などの使用者に雇われているということですから完全に経済的独立を果たしたとは言えません。
そこで「やや」「半分」といった意味合いを持つ「セミ」がついているわけです。
あえて完全な「リタイア」ではなく「セミリタイア」を目指す場合もあります。その理由としては主に以下の2パターンです。
- 貯蓄や不労所得がリタイアするにあたって不足しているため
- アルバイトなどの労働を自らがやりたいため
いつ頃達成できる人が多いのか
セミリタイアを達成する目安となる年齢は40代から50代です。20代から30代でも不可能というわけではありませんが、その分確保しておく貯蓄額や投資による利回りが高額になってしまうためです。
さらに、資産の複利運用の効果などを考慮すれば、リタイアに向けて少しでも早く動き始めることが重要です。
セミリタイア(FIRE)を実現した人はどうやって実現できたのか
どうやってセミリタイアを実現するのかといったポイントは本記事のメインテーマでありますが、例えば以下のようにセミリタイアを達成した事例があります。
- 株やFXで成功した
- 転職し高収入となり、余剰資金を堅実に投資に回した
- 地道にブログを運営し、月の生活費を安定的に稼げるようになった
リタイアやFIREをテーマにしたブログなども多くあるので、気になる方はぜひ検索してみると良いでしょう。
目標とする貯蓄額や不労所得は人それぞれで異なる
具体的に貯蓄や不労所得はいくら必要なのか?といった疑問をお持ちかと思います。しかし結論として具体的な金額の提示は不可能です。その理由は人それぞれで異なるからです。
例えば少し極端な例かもしれませんが、日本の生活費が高いと感じた人でフィリピンなどの海外に移住・定着している人もいます。そのような人は生活費が比較的少額なので、セミリタイアを達成するハードルは下がります。
さらに、1人暮らしで家庭を持たないという人の場合は生活費をまかなえる金額は比較的少額です。しかし結婚して子どもは3人以上ほしい、毎日外食など贅沢な暮らしがしたいと考える人の場合は相応に高額となってしまいます。
とはいえ、ある程度の基準額を知りたいところだと思いますので、以下の前提条件をもとに計算してみましょう。
- 生活費として単身世帯と2人以上の世帯を含む総世帯の2019年次の統計結果「約25万円」を用いる
- 平均寿命として厚生労働省が取りまとめている「令和元年(2019年)簡易生命表」の男性81.41年、女性87.45年を使用する
- 受給年金額は厚生労働省が取りまとめている「平成30年度
厚生年金保険・国民年金事業の概況
」をもとに国民年金で約55,000円、国民年金と厚生年金をあわせて約147,000円を使用する
家計調査は総務省が取りまとめている全国約9千万世帯を対象とした調査です。参考程度に、以下の図表を引用しておきます。まとめると総世帯で収入約51.3万円、消費支出約24.5万円、非消費支出は約11万円で、余剰資金は約15万円という結果です。
画像引用元:家 計 調 査 報 告 家計収支編
2019年(令和元年)平均結果の概要
これらの条件にもとづき、30歳の男性が平均的な世帯を抱えて平均寿命81歳に達するまでの51年間に必要な生活費等は「1億4,244万円」です。
- 年金を全額もらえる年齢を65歳と仮定し、65歳までの35年間約25万円の支出が発生する【1億500万円】
- 65歳から81歳までの16年間、国民年金約5.5万円の受給を仮定すると1ヶ月あたり19.5万円が不足する【3744万円】
- あわせて「1億4,244万円」が不足している
一般の方であれば目が眩んでしまいますね。
しかしこの額は不足している金額ですから、貯蓄額にくわえて今後の投資による収入やアルバイトによる収入でまかなっていくことになります。
もう一点注意点があります。上記算定では厚生年金を受給しない前提です。厚生年金を受給できる見込みがある方は、この金額よりも少し少額となるでしょう。
セミリタイアを達成する具体的な方法・ステップ
先ほど「1億4,244万円」不足すると述べましたが、「自分には無理だ…」と落胆するのは早いです。ぜひ以降で解説していく具体的な方法・ステップを参考に自らのセミリタイアプランを立ててみてください。
具体的な方法・ステップはおおまかに以下のとおりです。
- 目標貯蓄額や不労所得の額を設定する
- 無駄な支出を抑える(支出の最適化)
- 収入を増やす
- 余剰資金で投資などを行い資産利回りを得る
順に解説していきます。
【セミリタイアの方法・ステップ1】目標貯蓄額や不労所得の額を設定する
何をするにも、明確な目標を設定しながらそのロードマップを描かなければ目標の達成は難しいことがあります。まずは先ほどの「1億4,244万円」のように自身に応じた目標額を設定しましょう。
目標額の設定では以下の要素を考慮します。
- 現在の年齢
- 既婚/未婚(結婚の予定有無)
- 家族構成(子を何人持つのか)
- 教育費(公立なのか私立なのか、大学に進学するのか)
- 冠婚葬祭にかかる費用
- 税金
- 年金(国民年金/厚生年金)
本記事ではそれぞれの要素を考慮した具体額を例にとることはしませんので、ご自身で費用の検討を行ってみてください。年金については年金受給額のシミュレーションサイトなどがありますので活用してみると良いでしょう。
【セミリタイアの方法・ステップ2】無駄な支出を抑える(支出の最適化)
次のステップは無駄な支出を抑えることです。贅沢な暮らしをしながらリタイアすることは現実的ではありません。そのため多くの方が支出を抑えることによってリタイアに大きく近づけます。
具体的には「安いから買う!」ではなく価値主義で考えることを意識しましょう。格安SIMもその例の1つです。
格安SIMは大手キャリアとほぼ同等のサービスを提供していますが、料金は大手キャリア類似プランの半分もしくはそれ未満の価格で利用できます。しかし格安SIMにも環境によりますが「混雑する時間帯に通信速度が低下しやすい」というデメリットが生じる場合もあります。
混雑する時間帯をメインにデータ通信を利用する人が「安いから」といって格安SIMを利用しても、満足するデータ通信が行えず、結局無価値のものにお金を払ってしまうことになります。
このように、「安いから」ではなく自分にとってどれほどの価値があるのかという点を考慮すべきです。
その他、支出に関しては以下の要素を検討してみると良いでしょう。
- 飲み会を抑える
- テレビを持たない
- 保険の必要性を再検討する
- 電気、ガス、水道代などの固定費を見直す
- 買ったものは捨てずに売ることを検討する
特に「買ったものを売る」という意識があれば、実質的に支出を抑えられることがあるでしょう。
例えば2020年10月現在、11月に発売される「PS5」はゲームソフトをダウンロードするのみでしか遊べない機種とそうでない機種があります。本体価格はダウンロードするのみでしか遊べない機種のほうが低いのですが、現物ソフトも遊べる機種ではゲームソフトを中古で購入すれば安く購入できますし、現物でソフトを持っていればさらに売ることができます。
このように考えることによって、初期費用(機種本体価格)が1万円ほど安くても長期的視点ではコスパが悪いと判断する人もいるのではないでしょうか。
この例のように「目先の安さにとらわれない」消費行動がとれると良いと考えます。
なお、支出を抑えても浪費してしまう人はしてしまいます。その場合には毎月一定額を強制的に貯蓄口座にまわすなどして貯蓄額を確保しましょう。
【セミリタイアの方法・ステップ3】収入を増やす
支出を抑えても、収入が低ければリタイアは実行できません。多くの場合、支出を抑えるのは簡単でも収入を増やすことは簡単ではありません。
そこで収入を増やす方法を紹介します。具体的な方法は以下のとおりです。
- 転職エージェントを活用しながら転職を実現する
- 副業・複業をする
- 独立・開業する
このなかでもおすすめの方法は、「独立を前提に独立できるスキル・経験を習得できる職種に転職すること」です。そうすれば、給料をもらいながらスキルや経験を習得でき、複業することも可能になり、複業に自信がつけばそのまま独立できます。
ITエンジニアはその典型とも言えるのではないでしょうか。ITエンジニアは独立も可能な職種ですし、「未経験入社可」の求人情報もあります。その他、以下のような職種は未経験でも入社できる可能性があり独立可能な職種です。
- Webデザイナー
- Webライター
- 営業職
- 施工管理
- ファイナンシャル・アドバイザー
- ゲームクリエイター
- 各種コンサルタント
WebライターやWebデザイナーについては自身でWebサイト(ブログ)を開設し広告収入を得るなどで独立に繋げられます。
しかしWebサイトの運営は原則、収益の発生まで多大な労力が発生します。いわば労働力を投じて収入を得る労働収入です。
労働力を自ら投入したくない場合にはWebサイトの開設やデザイン、コンテンツなどの外注により労働の側面を減らすことも可能ですが、外注にともなう直接的なコスト(外注費)にくわえ、教育コストや管理コストが発生する点も考慮しなければなりません。
なお、未経験の職種や業種で転職後に独立したい場合は、転職時に前職からの年収アップが厳しいというのが実状です。よく検討しましょう。
【セミリタイアの方法・ステップ4】余剰資金で投資などを行い資産利回りを得る
支出を抑え収入を増やすと、貯蓄に回せる余剰資金が貯まっていきます。その資金をすべて貯蓄として持っていくことはローリスクではありますが資金の活用を検討すべきです。
具体的には投資など以下の方法で資金を活用して所得を得ることができます。要はお金でお金を増やしましょう。
- 株式
- FX
- 不動産投資(駐車場・サロン、ワンルーム、マンション)
- レンタルビジネス(クルマ、高級バッグ)
- 金やアンティークコインなどの現物投資
- 仮想通貨投資
- 債権投資(国内・海外・会社)
- 投資信託(ETFやREIT)
- その他金融商品(先物・オプション・指数取引)
可能であればこれらの方法を複数継続するなど分散投資をしましょう。
お金でお金を増やす行為には「利回り」という考え方が重要です。これは「原則1年間において投資元本に対してどのくらいのお金を増やせたか」という指標で、例えば利回り10%であれば500万円の投資元本に対して50万円の新たな所得を生み出せるということです。
投資利回り10%以上が理想的です。しかし現実は厳しく、投資対象にもよりますが5%や8%でも「投資は成功している」といった評価を得られる場合が多いです。
とは言え高いリターン(利回り)を得ようとする場合はリスクが高い投資対象を選ぶこととなり、元本が確保できない場合もあります。セミリタイアを目指すのであれば多少リスクを抑えてでも安定性を重視したほうが良いケースも多いでしょう。
まとめ:セミリタイア(FIRE)の目的や達成に向けたステップを明確にて達成しよう
本記事ではセミリタイア(FIRE)の概要やそれに向けたステップを紹介してきました。あくまでも本記事で紹介した内容は表面的な部分です。実際には複業や転職、投資などさらに多くの知識が必要になります。
さらに、もちろん失敗することもあります。そうならないためにも分散投資をするなどリスクヘッジを行いましょう。
ビジネスに関する有益な情報は文化・技術・価値観の変遷にともなって目まぐるしく変わります。情報感度を高めることも必要です。
本ブログではこのようなビジネス・不動産に関する最新情報を更新していく予定ですので、ぜひ今後も当ブログの情報をチェックしてくださいね。